倒産隔離には何が必要なのか?
ツイート器の意思決定上の手当て
器がどのような意思決定の仕組みを持っており、どのような関係者によって設立されるのかということを十分に理解しておかなければ、その関係者や器自身の倒産から不動産収益を守る仕組み(倒産隔離)を実現することは困難です。
合同会社、投資法人、特定目的会社という投資家のために不動産を保有する3つの会社はいずれも法人です。法により不動産取引等の当事者になるための人格が付与されている、つまりは法人格が与えられている団体のことを法人と呼びます。
株式会社を例にとってみると、意思決定に重要な役割を果たすものには、定款、株主総会、発起人、取締役会、代表取締役の5つがあります。どのような事業を行うかなどの会社の基本となるルールを定めたものが定款で、これは発起人によって定められます。
ただし、設立後には株主の最高意思決定機関である株主総会においてこの定款を変更することができます。また、株主総会においては、会社の経営を実際に担っている取締役を選任することも解任することもできます。取締役会は取締役の最高意思決定機関であり、代表取締役という代表して会社の行為を行う人間を選任ないし解任する権限を持っています。
ですから、不動産ファンドの3つの器においては、投資家のために不動産の収益を守るため、定款によって不動産事業に器の事業を制限し、投資家にその収益を分配するということを趣旨として記載しておく必要があります。さらに、勝手に定款が変更されないようにして、経営を担う代表者や機関が勝手な行動に出ないようにしておく必要もあります。
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合同会社の意思決定上の手当て(GK-TKスキーム)
発起人、株主総会、取締役会、代表取締役のすべての役割を1人の社員が担うことができるのが合同会社の特徴です。この社員について、関係者から独立し、代表者に中立的な会計士等が就く一般社団法人等とすることによって、合同会社が勝手な行動をとることを制限できます。
特定目的会社の意思決定上の手当て(TMKスキーム)
投資家たる優先出資社員とは別に、発起人たる特定社員が存在するのが特定目的会社の特徴です。一般社団法人等がこの特手社員になります。また、代表取締役及び取締役の機能を果たす取締役にも、通常の場合であれば中立的で且つ独立した会計士等が就きます。
社員総会(株主総会に相当)における議決権については上述した特定社員が保有することとなるため、勝手な行動はできません。資産流動化法によっても特定目的会社の事業内容は制限されています。
投資法人の意思決定上の手当て(REITスキーム)
投信法でその事業内容を不動産の売買や賃貸に限定され、設立企画人によって定められる規約ぬも事業の内容が定められているのが投資法人です。投資法人は、執行役員(代表取締役に相当)及び取締役の選任及び解任の権利、さらには、規約の変更の権限までを投資家が構成員となっている投資主総会に保有されています。
従って、特定目的会社や合同会社とは違て器の監視を投資家自身が担う仕組みとなっているのです。
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