不動産ファンドに関する法律の歴史

不動産ファンドに関する法律の歴史

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不動産小口化(80〜90年代)

 

保有によって収益(賃料収入)が得られる金融商品としての性格を有しているのが不動産です。その一方で、価格で見ると一棟当たりの金額が大きく、いざという時の売却が困難であるという点がネックとなっています。

 

不動産ファンドに関する法律の歴史

 

こうしたこともあって、複数人で不動産の持分を分け合って持つこと(不動産の小口化)が以前から検討されてきました。区分所有や共有が思い浮かぶのが不動産の小口化ですが、管理運営や登記の手間がかかり、意思決定が困難だというのが投資家の立場です。

 

過去には、不動産を小口化した持分に信託などを活用して投資する様々なスキームが生まれましたが、値上がりや節税目的を前提としたものであったため、バブルの崩壊に伴って大きな痛手を負うこととなりました。

 

また、当時は想像できなかった事業者の倒産によって、損害を被るというケースも多くありました。こうしたことを背景に生まれたのが、不動産特定共同事業法です(1995年4月施行)です。この法律が施行されたことによって、投資家保護を目的として、匿名組合などの営業者等の不動産特定共同事業者に許可が求められることとなりました。

 

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不動産証券化 初期(90〜00年代前半)

 

更なる流動性を持たせるために不動産を小口化した持分を証券化し、不良債権の処理に生かすという主旨で施行されたのがSPC法(特別目的会社による特定資産の流動化に関する法律)です。この法律に改善を加え、2000年に制定されたのが資産流動化法(資産の流動化に関する法律)です。

 

また、投資家が子の小口化された持分である証券に投資して、不動産に運用していくスキームとして2000年に投信法(投資信託おお日投資法人に関する法律)が制定されました。この法律に基づいて、REITが東京証券取引所に上場したのが2001年のことです。

 

 

不動産証券化 中期(00年代中盤)

 

私募ファンド市場は、REITの市場拡大に合わせるように拡大していきました。特に普及したのが資産流動化法に規定されていないYK-TKスキームという法定外スキームでした。YK-TKスキームの匿名組合出資持分は、2004年の証券取引法の改正によってみなし有価証券となりました。

 

信託業法(信託ビジネスの基本的なルールを定めた法律)は2004年に改正され、規制の対象が不動産信託受益権の販売にまで及ぶこととなりました。

 

 

不動産証券化 後期(00年代後半)

 

不動産信託受益権は、2007年に証券取引法が改正・施行された金商法(金融商品取引法)によってみなし有価証券となりました。この際、投信法や投資顧問業法の業務規制も金商法に統合されることとなり、金商法上の登録が不動産ファンドの運用を行うAMに求められることとなりました。

 

この法改正により、投資家からの資金調達や器の運営などの不動産ファンドによって行われる、ほぼすべての取引が規制の対象となり、同時に投資家の保護が図られ、金融商品として不動産ファンドが扱われるようにもなりました。




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